カンタベリー(Canterbury)からドーヴァー(Dover)までは、電車で30分くらい。
田舎から田舎へ移動するだけなので、途中の景色はほとんど緑。目に優しい。
そして、ドーヴァーの駅を出て、最初に頭に思い浮かんだ感想は、「んー、何もない・・・」である。
というか、まず駅から街の中心地まで少し離れているため、どこへ行けばよいのかが分からない。
遠くの高台にドーヴァー城が見えるので、とりあえず、その方向へ歩くこと15分。
街の中心地らしきストリートへ出る。
しかし、この日はEaster Monday。
店はほとんど閉まっており、人気もほとんどない。
自分らと同じように観光しているような人は見当たらず、いるのは、地元の人ばかり。
かなり場違いである。
この時、ドーヴァーに純粋に観光しに来る人はあまりいないのではないかと思った。
船でフランスへ渡る人はともかく、観光といえば、ドーヴァー城くらい。あとは海か。
そもそも、なぜドーヴァーにきたか。
自分の頭の中では、「ドーヴァー」=「ドーヴァー海峡」。
何かこの「海峡」というのが、良い響きで、とりあえず、行ってみたいという想いが以前から漠然とあった。
このカンタベリー旅行の計画中に、自分がその足でついでにドーヴァーまで行くという案を出した時は、相方はあまり興味を示していなかったのだが、独断でドーヴァー行きを決めた。
そして、それはあまり良い決断ではなかったことが、この時やっと分かった。
海峡を見たければ、ジブラルタル海峡へ行くべきだったのだ。
イースターに来たのが悪かったのか、来た季節が悪かったのか、とにかく活気がない。
留学を開始したのが冬だったら、Devon(というかPaignton)もこんな感じだったのだろう。
とにかく街にいても寂しさが募るばかりなので、とりあえず海岸へ向かう。

そして、いっそう寂しさが募る・・・
なぜか切ない・・・
何かこう「寂れている」というのが正しいかもしれない。
そして、その寂れ具合に、なぜか熱海を思い出してしまった。
なぜこのイギリスのドーヴァーを訪れて、日本の熱海を思い出してしまうのか理解に苦しむが、街の寂れた感じ、そしてこの哀愁漂う感じが熱海を訪れた時に感じたそれと似ているのだ。
しかし、熱海には「温泉」という素晴らしい切り札がある。
そして、ドーヴァーにあるのは・・・「海峡」。
・・・う、うれしくねぇ。。。
海岸沿いの街に多いカモメがここでも大繁殖。都会でいうハトだ。
誰か知らないがえらい人の銅像もカモメにかかれば、ただのピエロに成り下がる。

夏の暑い時期ならまだしも、この冬一番といってもいいくらいのこのクソ寒い時期に、この人気のない寂れた海岸にいても、涙が出てくるだけなので、この街唯一の見所と言っていいドーヴァー城へ向かうことにする。


中心地から歩いていけないこともないが、何せ高台の頂上にあるので、若干厳しい。
というわけで、バス停へ向かい、時刻表をチェックすると、週末の運行は2時間に一本くらいの間隔。
半分やる気をなくしつつも、バス停付近にある公園やその周りを散歩。
公園の傍に教会(とお墓)があり、ちょっとした存在感を示していた。

この日寒かったのだが、天気がよいのがまだ唯一の救いだと思っていたのに、急に空が曇り始め、軽く雨が降ってくる。
さらにやる気をなくす。
そして、KFCへ入る。。。(実は結構食べたかった)
田舎にいる若者達。
公園でスケボーやローラーブレードの練習に勤しむ男子達。
それをおしゃべりしながら眺める女子達。
どこの田舎もさほど変わらない。
KFCでチキンを頬張りながら騒ぐ若者達を見て、そう思った。
この若者達にとって、この世界が全てなのである。
自分も田舎育ちなので、こういう光景を見ていると、どこか懐かしくもあり、切なくもある不思議な感情が湧き出てくる。
結局、この日ドーヴァー城へ行くことはなかった。
あの高台からドーヴァー海峡を眺めたかったとしきりに悔しがってた相方をなだめ、近くの博物館をじっくり見物した後、帰りのバスの時間までパブで一杯やることにした。
どうせなら、イギリスを楽しもうということで、普段は飲まないエールを注文する。
カウンターの兄ちゃんに「どれがうまい?」と聞くと、「これかな。飲む?」と言って試飲させてくれた。
結局、全てのエールを試飲した(んかい!)後、兄ちゃんお勧めのエール(名前忘れた)ともう一つ違うやつを注文。
周りには観光客は皆無。そしてもちろん日本人も皆無。
ロンドンではほとんどないが(郊外では結構ある)、ここでは、中へ入っただけで、皆がちらりと自分達の顔を見る。
そこにあるのは紛れもないイギリスのローカルな空間で、自分達が「よそ者」であることを否が応でも実感させてくれる。
今回の旅行、好奇心を激しく刺激するようなことはなかったが、パブと一体となった宿に始まり、イングリッシュ・ブレックファスト、そしてこの小さな田舎に暮らす若者達。
何かこう「イギリス」そのものを見て、感じることができたそんな旅行だったような気がする。
ロンドンではまずお目にかかれない、透き通った川の水が、忙しい毎日に疲れた心を癒してくれた。

カンタベリー物語 - 完
UK-JAPAN2008 WEBサイトに本記事が掲載されました。
Listening to "娯楽(バラエティ)" by 東京事変
タグ : Canterbury カンタベリー ドーヴァー Dover










































